ブリヂストン × テイジン 共通のビジョンがモビリティの 未来を切り拓く
帝人グループでアラミド事業を展開するオランダの現地法人テイジン・アラミドB.V.が新たに開発したサーキュラー原料を使用したパラ系アラミド繊維「トワロン ネクスト TM」が、ブリヂストンがタイトルスポンサーを務める世界最高峰のソーラーカーの大会「2025 Bridgestone World Solar Challenge(以下、BWSC)」の参加車両に供給されるブリヂストン製タイヤの補強材に採用され、チャレンジャークラス、クルーザークラスの両部門で優勝を果たしました。 今回は、開発に携わった方々にお集まりいただき、あらためて開発の過程を振り返り、両社の「共創」によって得た成果や、タイヤ設計にとどまらない、モビリティの今後について伺いました。全3回にわたってお送りします。

㈱ブリヂストン 補強材技術戦略・開発部 矢野 翔一郎さん

帝人㈱ アラミド事業本部 ソリューション開発部 インダストリアルソリューション開発課 村瀬 智也さん

帝人㈱ アラミド事業本部 オートモーティブ課 山下 瞬さん

Teijin Aramid B.V. Global Market Manager Tires Tony Mathew さん
第 1 回 「サーキュラーエコノミーの実現」というビジョンの共有が生んだ取り組み

― 初めに、今回の「共創」がいつ頃から、どのようにして始まったのかを伺えますか。
矢野 オランダ大使館が主催するサステナブルケミストリー視察ツアーに参加し、そこでテイジン・アラミドが開発した「トワロン ネクスト TM」をご紹介いただいたのが最初だったと思います。ブリヂストンでは、タイヤを『創って売る』『使う』、原材料に『戻す』というバリューチェーン全体でサーキュラーエコノミーの実現を目指しており、そこにアプローチできる原材料の候補として、サーキュラー原料を使用している「トワロン ネクスト TM」に大きな可能性を感じました。
山下 関心を寄せられていると聞き、当社からご提案させていただいたのが 2022 年の 6 月でした。それ以前からブリヂストン様が中長期事業戦略において「サステナビリティビジネスモデル」として「カーボンニュートラル化・サーキュラ―エコノミーの実現」を提唱し、2030 年までに再生資源・再生可能資源比率を 40%、2050 年に100%サステナブルマテリアル化を目指されていることは存じ上げていました。

「トワロン ネクスト TM」を採用した 2025 BWSC 向けタイヤ
当社においても、「Pioneering solutions together for a healthy planet」というパーパスのもと、地球の健康を最優先に、誰もが安心して暮らせる「未来の社会を支える会社」になるべく挑戦を続けており、特に、「サーキュラーエコノミーの実現」については、重要な社会課題と位置付け、さまざまな素材の開発を進めています。その中で「トワロン ネクスト TM」は、持続可能な高性能素材であり、タイヤの補強素材として活用いただくことで、高い性能とサステナビリティの両立に貢献できるのではないかと考えたのです。
―― 最初から、それぞれが有しているビジョンや、課題に共通するものを感じられましたか。
矢野 それは感じていました。ブリヂストンは、1931 年の創業以来、「最高の品質で社会に貢献」を使命として成長を続けてきました。ここでいう“品質”とは商品の質にとどまらず、サービスや経営・業務の品質、さらに、持続可能な社会への貢献も含まれており、さまざまな社会課題に対して常に我々はリーディングカンパニーとして取り組む必要があると考えています。そうした中で帝人様よりご提案をいただいた「トワロン ネクスト TM」は、我々の課題解決の手段、手法として、非常に魅力的な素材であり、ともに開発を進めていきたいと考えました。 山下 すでに述べている通り、双方が社会課題の解決を重要課題と位置付けており、それが今回の「共創」のひとつのきっかけであり、早い段階で、「サーキュラーエコノミーの実現」という大きなビジョンを共有できた。それが、共同開発の後押しになったと思っています。
―― 実際に共同開発がスタートしたのはいつ頃だったのでしょうか。
村瀬 「トワロン ネクスト TM」のサンプルをお渡ししして、ブリヂストン様社内での検証が始まったのが 2023 年 9月だったと思います。 矢野 そうですね。当社の開発のステップとして、まず原材料をご提供いただき、現在使用しているものと比較したときに、コード単体としてどの程度の性能があるかをラボで検証します。その評価が良ければタイヤでの検証に進みますが、「トワロン ネクスト TM」はコード単体でかなり高いポテンシャルを持っていることが確認でき、すぐに次のステージ、タイヤでの試験を進めさせてほしいとお願いしました。 Mathew 「トワロンⓇ」は、高い物性や性能が求められる用途に採用される高機能繊維ですが、サーキュラー原料を使用した「トワロン ネクスト TM」を開発した際に、従来の「トワロンⓇ」と同等の高い性能を持つことを証明する必要がありました。ブリヂストン様との「共創」の機会を得たことは、「トワロン ネクスト TM」を評価する上でまたとないチャンスであり、高く評価していただけたのは大きな励みになりました。
村瀬 そもそもの糸の性能から評価していただき、「これはレースでも使える可能性がある」と言っていただけたのは嬉しかったですね。タイヤで試してみたいというお話をいただいたのが 2024 年の初めで、開発の具体的な進め方などについて相談し、実際にタイヤ向けのコードの試作を始めたのが 4 月です。
―― 「BWSC」で供給するタイヤに用いることは、初めから決めていたのでしょうか。
矢野 最初は具体的なことは決めていませんでした。ラボでコード単体としてのポテンシャルの高さが確認できたことから、次のステップに進んだ際に「BWSC」で提供するソーラーカータイヤとして開発を進めたいというご相談をしたと記憶しています。
Mathew 技術的には、「トワロン ネクスト TM」の紡糸工程を最適化し、糸そのもののみならず、加工して使用した際にも、従来の「トワロンⓇ」と同等の強度、耐久性、耐熱性を実現することが重要でした。
村瀬 「トワロン ネクスト TM」としての性能、可能性は認められたものの、本当にいいものができるという確証はなく、しかも、「BWSC」向けに 2025 年 1 月から生産開始と聞き、厳しいチャレンジになりそうだということは感じました。

サーキュラー原料を使用した「トワロン ネクスト TM」
矢野 当社では「BWSC」を「走る実験室」と位置付けており、モータースポーツを通して、「トワロン ネクスト TM」材料技術の価値検証をしたいと考えました。タイヤの補強素材には高い強度とそれを維持する耐久性が求められ、従来製品と同等の物性をサーキュラー原料を含む製品で実現するのは非常に難易度が高いことではありますが、BWSC を目標にチャレンジしようと考えました。

―― ありがとうございました。この続きは、「第2回 情報共有と腹を割った話し合いで難局を打開」で、ご紹介します。
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